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2025.08.21

匠の手仕事 小割哲也vol.2「料理から、陶芸の道へ」

 

料理の道へ入ってみよう。と、思い立ったのは24歳の時だった。

 

 

「ツテがなかったので、居酒屋のアルバイトを始めました。とりあえず好きだからやってみよう。と、軽い気持ちでした」

 

居酒屋から始まり、割烹料理、懐石料理と、様々な分野を渡り歩いた。晴れて調理師となり、料理を探究し続けた。この時、大きな出会いがある。

 

「自分で作った料理を、自分の器で出している懐石料理屋があったんです。昔憧れた、魯山人の姿と重なりました。弟子にしてほしいと親方に頼み、時期をおいて雇ってもらうようになりました」

 

 

懐石料理を学び、器も作るようになった。27歳。初めて、土に触れたタイミングだった。

 

 

「初めての陶芸は、大きな魅力でした。知らないからこそ、自由に取り組むことができる。一方で、生業にしていけるか。そんな視点も強かったと思います」

 

来る日も来る日も、料理と陶芸に取り組んだ。だんだんと、ある思いが生まれる。

 

「両方に取り掛かっていると時間を詰め込みきれない。どちらかをしっかり極めたい願望がありました」

 

 

小割さんは、陶芸一本を選ぶ決意をした。

 

 

「若い頃の僕は、何者でもない自分に焦りがありました。陶芸一本の道へ進んだつもりでも、心の中では迷いがあった。料理を諦めきれてもいない。自分でもはっきりしない時間でした」

 

 

続く