お知らせ
2024.09.19
匠の手仕事 鷲巣恭一郎vol.2「染めもの職人、作家になる」
家業を継いでからは、がむしゃらに働いてきた。それから数年後。転機が訪れる。インクジェットプリンターの出現で、急激に仕事が無くなっていた。厳しい局面を迎えるこの頃、静岡の若手職人グループ「するがクリエイティブ」との出会いがあった。鷲巣さんもメンバーとして加入することが決まり、改めて自分のものづくりと向き合うこととなる。
「するがクリエイティブのメンバーは、それぞれに独自性を持っていたんです。依頼された商品を作る職人という形だけではなく、自らの感性で作品を生み出す作家でもあった。じゃあ、自分ならば何を作るのだろう。と、考えた時に、閃いたのは静岡の特産物であるお茶を使用した作品だったんです。」
お茶染めを閃いた経緯には、偶然の重なりがあった。一年ほど前に、茶農家に肥料をおろしている先輩から、「これで染めてみない?」と、廃棄予定だった茶葉を渡されていたのだ。
「渡された茶葉は、加工の過程で排出される副産物。その茶葉を譲り受け、倉庫に仕舞い込んでいたんです。久しぶりに引っ張り出し、お茶染めの研究を始めました。」
職人の仕事は、基本的に下請業者として成り立つ。依頼された内容に対して、いかに正確に答えられるか、大量に早く綺麗に仕上げることを求められてきた。一方、作家は自分の特色を出しながら、作品を作り上げていく。そこには技能だけでなく、意匠的なものが求められる。
どうしてお茶という原料を選び、何を表現をしていきたいのか。朧に考え始めた時だった。加工の過程で排出される茶葉から染め液を抽出し、新たな価値を模索した。型染めのデザインを考え、染め、作りあげる。没頭する中、壁にぶち当たった。出来上がった作品を販売しても、売れない日々が続いた。
「そもそも、お茶染めという市場がなかったんです。なので、作品を販売をするだけでなく、認知してもらい、新しく市場を作る必要がありました」
大切にしたことは、まずは知ってもらうという姿勢だった。研究を重ねてきたレシピを、自分一人で囲い込むのではなく、公開した。そして、多くの人とお茶染めの体験を共有し、浸透させていった。
「お茶染めのレシピは、こつこつ研究をして生み出したもの。作ったのは自分でしたが、僕も父の技術や知識を土台に、ここまでやってくることができた。全てのことは、先人の共有財産の上に成り立ってきたと気づいたんです。だから、僕も知識を開示し、次の人にバトンを渡してこそ、サイクルが生まれると思いました。」
続く
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